空まで届け

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ボールを放り上げる女性

 5月には連休がある。この時期に長い休みがあるのはありがたい。暖かくなって来る頃で、軽装で外出できるし、数日かけて遠出もできる。大勢で集まって遊ぶにはうってつけだと思うのだ。
 そんな時期の休日の公園で、バスケットボールでキャッチボールをしているグループを見かけた。片手で投げたり、両手で押し出すように投げたりして、ボールを次へと渡していく。
 ボールがグループの輪を何周か回った後、単調な動きに変化を与えたかったのか、一人が少し高いボールを女の子の方へ投げた。山なりの軌跡を描いて、ボールが落ちてくる。彼女は腕と体でしっかりと受け取った。すると、彼女の中のいたずら心が働いたらしい。受け取ったボールよりも高いボールを投げようとして、彼女は腕を大きく振ると飛び上がって、頭上でボールを腕から離した。まるで、空まで届けというばかりに。長い髪が巻き上がって空を舞い、まるで羽が生えたかのようにも見えた。
 地面を蹴った足が空中で伸びやかな姿を見せる。体全体が空に向かって行く姿に、活動的という言葉がとても合っていた。
 人間の、走るとか跳ぶと言った動作は、人の持つエネルギーのようなものを形にして見せてくれる。僕らがアスリートたちの姿に感銘を受けるのと同じように、名もなき人の躍動もまた、印象を与える力があるに違いない。その力が周りへと広がって、人の心に何かを残した時に「人が輝く」といった表現が使われるのかもしれない。

 彼女は着地すると、すぐさまボールを受け取る友の方へと顔を向けた。
 空へと放たれたボールは、しかし、地上へと引き戻されてくる。勢いを増したボールが、友の腕の中に飛び込んで、大きな音を立てた。
 躍動と言う名のエネルギーの音に違いない。