潮風に吹かれて

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風に吹かれながら歩いている時に後ろを振り返った女性
 海岸は風が強いところだ。さえぎるものが何もない海の上を走ってきた風が、勢いを保ったまま吹き付けてくるのだから。その中を鮮やかな青のブラウスと白いスカートの女性が砂浜を歩いている姿が目に留まった。行く先を確かめるように、振り返って笑顔を送っていた。
 白いスカートが陽の光を反射して眩しく映る。肩を少し出したブラウスが、夏の装いだった。片手に靴を持って、裸足で太陽によって熱を与えられた砂の上を歩く。足に伝わった熱さが、風によって冷やされているかのようだった。
 流された長い髪の毛と、足に貼りついたスカートがが風の強さを目に見える形で教えてくれた。
 風が通り過ぎるたびに、髪は流れる向きを変え、スカートは広がったり、折りたたまれて小さくなったりを繰り返した。
 髪の流れは空気の流れであり、服の皺は空気の波である。
 風に吹かれることで作られる光景には印象的なものがある。木の枝のゆらめき、一面の麦畑の波打ち、旗のはためき。スカートが風にあおられる姿が、そういった光景を連想させる。
 でも、彼女は自ら動いている。服をはためかせながら。それが、鳥が羽ばたくような、力強さも感じさせた。
 彼女は、さらに歩いて行った。
 風はまだ、彼女を強く押し返そうとしている。それでも、髪を押さえることなく、風の吹くほうへ向かって進んで行く。風下に引かれた彼女のスカートが、歩き去っていく余韻を残しているように感じられた。