うちわを配る人

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うちわを配る女の子 海水浴の季節が来ると、海岸には海の家が軒を連ねる。ビアガーデンのようなものもあり、カウンターを置いたバーのようなものもある。そして、プールや遊具を置いたアトラクションのようなものもある。きっと大きな資本で運営しているのであろう。
 そのアトラクション型海の家の軒先でで、うちわを配る女の子がいた。店先を通る人に1枚、2枚と海の家の名前が書かれたうちわを渡していく。日差しが強く、暑い日だったから、受け取った方ももらった方もすぐに扇いで涼を取っていた。
 彼女の日焼けした肌が、シーズンが始まってからこうして、たくさんのうちわを配ってきたことをうかがわせた。この暑い中でずっと過ごしてきたのだ。配るよりも先に、自身がうちわをあおいで涼んだほうがいいのではないかと思ったりもする。
 彼女はこの海の家の花である。この例えは真実を言い得ているだろう。うちわは花粉であり、受け取った人たちが蜂となって広い範囲へと運んでいくのだ。広がっていったうちわが、また、お客さんを呼んでくれるのだ。
 店のプールでは子供たちははしゃいでいた。時折跳ねる水が店先まで飛んできて、床を濡らしていた。彼女の足下にも水がかかって適度に冷やされているようだった。
 暑い夏の間でも、この花が枯れることはないだろう。