西の空は既に赤く染まっていた。海岸に届く光は弱くなり、影ができていた。1時時間もしないうちに、暗闇がこのあたりを覆うだろう。
写真が撮れる限界の明るさになっていた。その中で、最後の写真を撮ろうとしている二人の女の子がいた。彼女たちは、脛をピッタリと砂の上に置き、上体はすっかり前に倒して、カメラの方へ向いていた。
しばらく同じ姿勢で固まっていたが、突然、笑いながら動き出した。写真を撮り終えたようだ。
前のめりになってカメラに向かっていた女の子が体を起こした。膝を地面に置いたまま体を後ろにそらし、顔を少し横に向けて遠くに視線を送った。砂浜の端に立っている時計台を見たのかもしれない。彼女はしばらく遠くを見たままだった。でも、何かを見つめているようには見えなかった。
何か、我に返る瞬間が来たように思う。
今日が終われば、また別の1週間が来る。休日が終わっていしまう時に感じる寂しさに似た感覚を感じ取っているのではないだろうか。最後のシャッターはその合図だったのだ。
さよなら休日。また来週。
彼女はゆっくりと立ち上がって、友達と一緒に広げていたシートをたたみ、カバンに収めた。
西の空では、目でも見られるくらいの明るさになった太陽が、地平線にぶつかろうとしていた。