指先に広がる眺めを

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座ったまま遠くの空を指差す女性 太陽が西の空低くに差し掛かると、日の光は赤みを帯びて地上に届くようになった。 見晴らしのいい階段からは、夕日に照らされた景色を眺めることができた。デートで訪れた二人が、座って遠くを見る姿で夕日に照らされている。
 遠くの空に何かがあったのだろうか、彼女は腕を高く上げて指し、傍らに座っていた彼もその先に顔を向けた。表情はにこやかで、指先に何があるんだろうと思った。
 面白い雲の形、夕日に照らされる飛行機雲、高層建築、それとも未確認飛行物体なのか。
 それは彼女の興味を引くもので、彼も面白がると感じたはずなのだ。いま、ここで、二人が同じものを見ている時こそが貴重な瞬間である。指さした先のものをお互いにきれいだねと言うことで心がは通い合っていくだろう。体験の共有は
、お互いの人生の一部を共有したことと同じなのだ。
 彼女が足を伸ばして、遠くを指している姿がとても可愛らしかった。
 体を傾けて腕を上げることで、身を寄せる姿が仲の良さを示しているようで美しい。この時、この場所に、二人で生きているのだ。

 夕日はさらに赤みを増して暗くなっている。彼らの目を引いたものもすぐに見えなくなってしまうだろう。二人の姿は日が落ちる前の、心を分かち合う光景だった。