球技場で、女子のラクロスの試合が行われていた。
ボールを取ったチームがフィールドの一方へと走って行く。同じ色のユニフォームの選手の間をボールがパスでつながれ、ゴールへと迫っていた。
両チームの選手たちがフィールドの遠方で入り乱れていたが、次の瞬間、彼女たちはこちらの端へと向かって来た。今度は別の色の選手たちがボールをパスで渡しながらこちら側のゴールへと近付いてくる。相手チームがボールを取ったのだ。
素早いパスでボールが次々に渡っていく中、マークの弱かった選手がボールを受けると、ゴールに向かって走り出した、
ピーッ!
ファールがとられて、ホイッスルが吹かれた。攻撃していた方のチームにフリーポジションが与えられた。ゴールの前にスティックにボールを入れた選手が腰を落として、審判の再開のホイッスルを待っている。
彼女のゴーグルの奥の目は、しっかりとゴールを見据えていた。数メートル離れた位置では相手陣営のディフェンスが取り囲むように構えている。味方の位置、ディフェンスの位置、ゴーリーの構えを見て、彼女は次の動きを組み立てているに違いない。
時間が圧縮されたかのように、1秒がとても長く感じられた。
ピーッ!
静止していた選手たちが再び活気を帯びて、動き出した。