10月の末になると、街のあちらこちらに大きく口を開けて笑うジャック・オ・ランタンが現れる。
ショッピングモールのハロウィンイベントで、仮想したキャストたちが一緒に写真に写ったり子どもたちにお菓子を配ったりしていた。ジャック・オ・ランタンをあしらったバッグを持った女性が、先の尖った帽子をかぶり、バフスリーブのブラウスを着ていた。スカートはカボチャと同じオレンジ色に染められている。ブロンドの髪を持ち、童話の世界からやって来たような可愛らしさを備えていた。
しばらくして、キャストたちは次の場所へと向かうために移動し始めた。ゆっくりと歩きながら、道行く人に笑顔で手を振り、ゾンビの姿で驚かせ、近くにいる子供にお菓子を配っていた。その光景がとても楽しく見えた。
建物の端まで来ると。彼らはエスカレーターに乗って上の階へと登っていくところであった。ゾンビ、ドラキュラ、海賊、魔法使い、カボチャのお化け、お姫様がゆっくりと上がっていく。
数メートル登ったところで、ブロンドのお姫様は下を向いて微笑んだ。手を振って愛嬌を振りまいている。やがて彼女は手を下ろしたが、真っ直ぐに立って笑顔で下を見る姿がとても綺麗に見えた。
やがてキャストたちは、上の階へと消えていった。まるでおとぎ話の世界に帰っていくように。
ハッピー・ハロウィン!