駅のコンコースを人が流れていた。柱のそばでは、待ち合わせのためにその場に立っている人もいる。
一人の女の子が流れから外れ、待ち合わせの人たちに加わった。彼女は身に着けているものが暗い色のものでそろえられている。ジャンパー、カバン、靴。秋になって気温が低くなったのに、ボトムスはショートパンツだった。
突然、彼女は片足を上げた。
足の上にカバンを乗せると、ファスナーを開けて中をまさぐって何かを探し始めた。太ももで支えなければいけない程、重いのだろうかと思った。でも、彼女のカバンの姿を見て納得した。ショルダーストラップで吊り下げられたカバンは、下に向かって引かれ、大きく湾曲していたのだ。
素肌の太ももを高く上げる姿が少し大胆に感じられて、ドキッとした。
女性の服が肌の露出が少ないものが多い理由が分かった気がする。素肌が大きくのぞいたり、ボディラインがはっきり出てしまうと、性的なものを感じさせてしまうからなのだろう。
肌の見える足を上げている彼女の姿に中に、妖艶さのようなものが潜んでいる気がした。
カバンを閉めると、彼女は足を下ろして再び2本の足で立った。ジャンパーのポケットに両手を入れて人が流れてくる方を眺める姿は、普通の女の子に戻っていた。