すべではここから始まる

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ボールをスティックで押さえる女性ラクロス選手 ラクロスでは、試合開始と得点後はセンターラインからゲームが始まる。
 両チームから1名づつがラインを挟んで向い合い、お互いのスティックの背面でボールを押さえ、ホイッスルと同時に高く上げるのだ。
 ゴールが決まった後、女子選手たちは再びポジションについて再開を待った。センターライン上では二人の選手が腰を落として向き合い、スティックを当てている。
 一方の選手の表情がよく見えた。鋭い視線で相手選手を見つめている。上げられたボールが取れるかどうかでチームの優劣が変わるのだ。相手の動き、相手チームの位置、味方の位置。すべてに注意を払い次の動きを心に描く。息を整えるために少し開けた口からマウスピースが覗いていた。
 リードしているチームは逃げ切るために、劣勢のチームは追いつくために、ボールを取ることに集中している。
 まるで宇宙が誕生する前の時間のない世界の様に、すべての選手が動きを止めていた。1チーム12人で合計24人。ゴール2つ、ボール1つ。これらがラクロスと言う名の宇宙の全て。審判は法則であり、ホイッスルだけが時間の動きを決めるのだ。
 すべてはここから始まる。
 審判はボールに視線を置いたまま、後ろ向きで離れていった。ホイッスルの高い音が響いた瞬間、宇宙が動き出し、2本のスティックがボールを頭上へと放った。