フィールドの上を女子選手が駆け回っていた。
よく晴れた秋の日の午後で、足が乾いたグラウンドを叩くたびに音が響く。でも、選手だけがボールを追って動き回る存在ではなかった。鮮やかな色で染められたユニフォームを着た選手たちとは違う、白と黒のストライプのシャツに身を包んだ女性たちがボールの動きに合わせて走り、そしてホイッスルを吹いた。
ピーッ!
ボールがゴールへと飛び込んで行くと同時に高い音がフィールドに響いた。離れた所から試合を見ていた審判は両手を上げた。ラクロスではそのゼスチャーが得点の宣言なのだ。
一方のチームが手を上げて喜び、対戦チームが肩を落として意気消沈している中でも、彼女は数秒間、腕をしっかりとと高く上げたて判定を示していた。
あらゆる競技において選手は主人公である。だが、ゲームの支配者は審判なのだ。彼らもボールを追ってフィールドを駆け、プレーを見守り、ファールを宣告する。選手たちに劣らない運動量を発揮しなければならないし、毅然とした姿勢で判定を下さなくてはならない。
審判がゲームを公正に動かす。彼女のしっかりとした視線がそれを表しているようだった。
やがて、選手たちはゲーム再開のために自分のポジションへと戻り始めた。審判である彼女も、ボールを受け取るとセンターラインへと向かった