オアシスを超えて走れ

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マラソンで水を飲む女性ランナー 市民マラソンが行われた日、男性も女性も、若者も老人も、足に自信のある数万人もの人たちが走っていた。彼らのシューズがアスファルトを叩く音がずっと続いている。
 コースの脇に、補給所が設置されていた。テーブルの上に水の入ったカップが山のように積み上げられていて、前を通るランナーが取って行く。
 昔、マラソンの競技中に参加選手の一人が途中で脱水症状になって、倒れてしまったシーンを見たことがある。水がどれだけ人にとって大切かを示す出来事だった。
 マラソンの起源になった、アテナイへ勝利の知らせを届けにマラトンから40キロ走って行った古代ギリシア人は、到着したのちに亡くなったと伝えられている。脱水症状が死因ではないだろうが、人間にとって、長距離を走ることには危険が伴うのも確かなようだ。
 コースサイドの補給所は、砂漠のオアシスみたいなもの。そこには水があるが、ひとたび離れると、乾いた砂漠が続いている。ランナーたちはオアシスを繋いで走り、ゴールを目指すのだ。
 補給所を通り過ぎるランナーから、一人の女性がテーブルへと近づいて水を取ったのが見えた。彼女はすぐにカップを口に付けると渇きを潤したようだった。
 飲み干したカップをゴミ箱に入れると、彼女はオアシスを出て、再び乾いた大地へと向かって行った。