文化は人を選ばない

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着物を着て振り返る欧米人女性 新年を迎えた神社は、人であふれて一杯になる。御神体に向かって柏手を打つ人、おみくじを引く人、手水で手を清める人などで大きな賑わいを作り出していた。外国からの観光客もたくさんいて、正月の日本の雰囲気を楽しんでいる。
 そんな中で、一組の異邦人のカップルに目が留まった。
 男性はジャンパーとジーンズという普通の冬の服装だが、女性は着物を着ている。最近では観光客にも着物の着付けをしてくれるサービスがあるのかと感心したのだが、よく見ると、足を大きく動かさずに歩幅を小さくする着物での歩き方にとても慣れているようだった。日本に頻繁に来ているか、それとも住んでいるかも知れない。
 二人は一つのスマホを覗き込んで話をしていた。ここで写真を撮ろうとしているのだ。
 彼女は歩き出した。手を軽く組んで少し後ろに振り返って彼の方を見ながら。彼から少し離れたところに立つと、姿勢を止めたまま向けられているスマホへ微笑んだ。
 彼女は背が高く、まっすぐに立って振り返り、視線を一点に置いている姿が、とても美しく見えた。文化は人を選ばないに違いない。和装に身を包んだすべての人種の姿にも普遍的な美しさは存在するのだ。
 写真を撮り終えると歩く姿を動画に撮るために、彼女は石畳の参道を門へと向かって歩き出した。やはり、歩幅を小さくして、裾がめくれないように綺麗に歩いていく。
 紫色の着物を着た彼女が、朱色の門へと吸い込まれていく姿は、美しい映像として撮られたことだろう。